大河ドラマ『真田丸』 特別インタビュー
阿茶局役  斉藤由貴さん

自分の愛する男に、天下人となって欲しい。
家康の小心さとか、小ずるさみたいなものも知ってて、それでも自分の男にはてっぺんを取ってほしい、っていう女としてのエゴを通してるところもあると思う。

2016.12.01

―阿茶局は、家康に薬を煎じて飲ませたり、たまに辛らつな言葉も掛けたりするところが印象的なのですが、そもそも阿茶局は、どういう女性だと捉えてらっしゃいますか?

 家康には朝日姫という正室がいて、阿茶局は側室ではありますけども、家康からずっと一貫して寵愛を受けています。最終的には大坂城の冬の陣の和議の仲介役として城に乗り込んでいくというか、交渉を請け負うっていうところまで行くわけです。私の捉え方としては、大将、武将である以前に1人の男としての徳川家康という人間に惚れて、この男のために自分の全身全霊をもって尽くすっていうことを決心してる女性。本当にシンプルにいえば、家康に心底惚れていると私は捉えています。

―薬を煎じているのも、家康の体を案じてっていうことですね?

 当然のことながら真田の話なので、そんなにたくさんエピソードはなくて、家康と阿茶局の出番は少ないんです。1話に2、3シーンとか、何話かに1、2シーンとか。その要所、要所から全体をまとめての判断ですが、阿茶局が家康の健康を心配してというのとはまた別の側面として、家康の精神安定剤的な存在かなと思っています。
 今までのエピソードだと、例えば「1杯飲んだらこれで充分効用ありますよ」って言っているのに、家康は「いや、もう一杯飲みたい」と言って、無理くりもう一杯作らされるというくだりがありました。家康は阿茶局がそばで薬を煎じている、その存在がある、そのことだけで、ちょっと気持ちがホッとする。私たち現代の人間もそうじゃないですか。特に、必要ではないかもしれないけども、例えばジンクスとかお守りとか持っていると安心するみたいな。そういう存在として阿茶局は、家康にとって必要なんだって、阿茶局自身が自覚してるんじゃないでしょうか。

―家康にとっては、もう、いるだけで安心できるようなそういう大きな存在?

 大きいかどうかは分かりません。でも、家康という人は、どっちかっていうと、ちょっと小ずるくて小心者のような描かれ方をしてるじゃないですか。そういうところも阿茶局は分かって、振る舞ってるところがあるような気がします。

―時折、ちょっと背中を押すような、アドバイス的なことを言ったりしますよね。あの辺りは阿茶局のどういった気持ちの表れなんだとご想像されますか?

 自分の愛する男に、天下人となってこの世の全てを手に入れて欲しい、やっぱりヒエラルキーのトップに立って欲しい。その可能性がある男なのだから、そこに届いて欲しいっていうのが、大きかったんじゃないですか。例えば、秀吉の正室・寧々もきっとそういうふうに思ってたでしょう。トップに近いの武将に仕える女であれば、誰しもが考えることだと思うんです。家康という人の小心さとか、小ずるさみたいなものも知ってて、この人はどうかな、っていう気持ちも多少あって、それでも自分の男にはてっぺんを取ってほしい、っていう女としてのエゴを通してるところもあるのかなって。

―それは台本のどんなところから感じましたか?

 本多正信あたりに乗せられるところがあるじゃないですか、家康って。日和見ではないんですけど、人の意見で「よし、そういうことならやってみる」っていうところがありますよね。その辺が話が進むにつれて割りと顕著になってきてて、はたから観察していてそういう感想を持つようになってきたのもあると思うので。